コラム
資材購買のキャリアプランとは?平均年収やおすすめ資格を紹介

製造業において重要な役割を担うポジションの一つである資材購買職。
一方、人によっては毎年コスト削減を追いかける仕事で、キャリアプランが見えにくいという意見を持つ人もいます。
しかし、資材購買職は、業務の難易度により年収レンジも異なり、キャリアアップの道が着実に開ける仕事です。
今回は、資材購買のキャリアプランと、業務難易度ごとの平均年収、おすすめ資格について詳しく解説していきます。
目次
資材購買の仕事内容
一般的に、資材購買の仕事は以下のものとなります。
・見積書を取る
・市場のリサーチ
・ベンダーの選定
・価格交渉
・契約締結
・納期の管理
・検収・受入検査
・在庫管理
・ベンダーとの関係構築
・開発購買
こちらについては、下記の記事で詳しく解説しています。
こちらもご覧ください。
資材購買の仕事とは?仕事内容、調達と購買の違い、求められるスキルを紹介
資材購買業務のレベルごとの年収
以下に、業務レベルに応じた年収レンジを解説します。
企業毎に組織の大きさや役割分担が異なり、それに応じて変わる可能性があるため、一つの目安として下さい。
300~450万円
●業務内容
・基本的な市場リサーチ(製品の基本的な情報、市場価格など)
・ベンダー選定(見積取得、価格比較、納期確認)
・価格交渉(予算に合わせた価格での購入、コスト削減)
・契約締結の補助(草案準備、内容理解、上司からの指示内容)
・納期管理(スケジュール作成、進捗確認、遅延時の折衝)
・在庫管理(在庫データ入力、整理、在庫数確認など)
・検収・受入検査(注文書通りの数量と、品質の確認)
●役割:
購買における基本的なルーチンワーク担当
450~600万円
●業務内容
・市場リサーチ(製品の市場動向、競合他社の行動、価格変動の傾向、供給チェーンの変化)
・ベンダー選定(市場調査に基づき、品質基準、納期、コストなどで総合的に判断)
・価格交渉(中長期的なコスト削減、取引条件全体の最適化、パートナーシップ構築)
・契約締結(標準的な購買契約、サービス契約締結の完結)
・納期管理(詳細な生産計画と納期スケジュールの調整、リアルタイムでの追跡)
・在庫管理(在庫レベルの最適化、在庫の効率的な管理と回転)
・検収・受入検査(検収・受入検査プロセスの監督と改善)
・基本的な原価管理(原材料や製品の単価の追跡、簡単な原価計算)
・BOM構築(対象製品に必要とされる基本的な部品や材料のリスト作成)。
●役割
購買業務全体の適正な遂行と管理
600~800万円
●業務内容
・市場リサーチ(長期的な市場動向、技術革新、グローバルな供給チェーンの変化、業界内での新たなトレンドや競争戦略などに焦点を当てる)
・海外調達(海外ベンダーのリサーチ、海外サプライヤーとの折衝、価格交渉)
・ベンダー選定(ベンダーの技術力、イノベーション能力、財務状況、サステナビリティまで含めた評価)
・価格交渉(ベンダーのコスト構造、市場状況、サプライチェーン動向などを踏まえた交渉実施。コスト削減だけでなく、品質向上、納期短縮、支払い条件まで含めた交渉)
・契約締結(長期契約、大規模な取引、特殊な製品やサービスに関する契約、特定条項が含まれる契約)
・納期管理(サプライチェーンのリスク、市場動向まで踏まえた将来予測、それに基づく計画立案)
・在庫管理(市場動向、季節変動、過去のデータなどを基にした精密な需要予測、在庫最適化)
・原価管理(製品の全体的な原価構造の分析、原価要因の分析、原価削減のための戦略的計画)
・製品の仕様決定の補助(製品開発チームやエンジニアリング部門と連携。製品仕様に合った素材や部品の選定提案、サポート)
・BOM構築(部品の相互関係、製造工程での使用順序、各部品のアセンブリ、組立構造、部品間の物理的、機能的関係など)。
●役割
複数プロジェクトや大規模取引管理。ビジネスに直結した戦略的な購買業務の遂行。
800~1000万円
●業務内容
・ベンダーとの関係構築(ビジネス関係の構築、共同プロジェクトや新技術開発などの協業、長期的に安定した供給網確保)
・開発購買(新製品開発に必要な資材の選定、調達。及びコストと品質の管理)
・戦略的な価格交渉(企業全体の戦略に基づき、開発、製造、マーケティングなど他部門と連携を取りながらの交渉。大規模取引)
・契約締結(様々な条項を含む複雑な契約。長期的なパートナーシップや大規模な取引に関わる内容)
・製品の仕様決定(他部門と連携し、戦略的な観点から製品仕様の決定にかかわる)
・BOMの構築(全体の構築)
・海外調達(品質、地政学的リスク管理、長期的なパートナーシップ構築)
●役割
高い専門性を保有し、企業全体のコスト削減や効率化に貢献する。
1000万円以上
●業務内容
・全社の調達戦略立案
・大規模な開発購買プロジェクトの管理
・グローバルな調達ネットワークの構築
・戦略的なベンダー選定とリスク管理
・大規模な契約締結
・総合的な在庫管理戦略
●役割
高い専門知識と豊富な経験を持ち、企業全体の調達戦略に関与する。
資材購買職の年収アップに有効な資格
資材購買職にも関連する資格が複数あります。取得する事で、専門知識とスキルを身に付け、年収アップにも効果的です。
以下、難易度順に紹介します。
CPP (Certified Purchasing Professional)
入門レベルの資格。ベンダー選定、価格交渉、契約締結などの基本的なスキルを証明できます。
CPM (Certified Purchasing Manager)
購買管理のより高度な知識が求められる資格。CPPよりやや難易度が高いとされています。
CPSM (Certified Professional in Supply Management)
サプライチェーン全体の理解を深め、高度な調達戦略の立案や実行に役立ちます。
広範な知識と経験が必要で、難易度はCPMよりも高いとされています。
CSCP (Certified Supply Chain Professional)
サプライチェーン全体の管理、最適化に関する専門知識を持てます。経験も求められ、かなり高い難易度の資格です。
SCMP (Supply Chain Management Professional)
サプライチェーン管理に関する包括的な知識とスキルを認定。複雑なサプライチェーン問題の解決と、高度な調達戦略の実施に役立ちます。これらの資格の中で最も難易度が高いとされています。
また、以下も業務に関連する資格として役立つ資格です。
PMP (Project Management Institute)
プロジェクトマネジメントに関する知識を問う資格。プロジェクト管理の原則、技術、実践の専門知識が身につき、プロジェクトマネジメントに携わる資材購買職にとって有用です。
簿記2級
会計知識を身に付け、特に原価計算や管理会計の知識がつけられます。
資材購買職にとって、原価管理、コスト管理にかかわる知識を習得するのに適しています。
シックスシグマ
アメリカのモトローラ社によって開発された経営・品質管理手法。製品やサービスの品質を高めるための手法であり、品質管理に携わる資材購買職にとって有用です。
まとめ
資材購買職におけるキャリアアップは、専門性の深化、経験の積み重ね、戦略的思考の発展、そして個人として高度な専門知識を身に付け個人としてブランド構築ができるか、にかかってきます。
年収レンジでいえば、600万円位までは資材購買職の中でもルーチンワークを効率よくこなせるか。600万円を超えるくらいから、コスト面から製品作りに関与できるかが重要となり、戦略的思考を持った実務ができればさらに上に上がっていけます。
資格取得についても、上位資格になると戦略的思考を身に付けるの役立つものが出てきます。
資材購買職は専門職の一つ。現在の業務レベルを棚卸し、客観的な自身の業務レベルがどの位置なのかを自己分析することで、次のステップが見えてくるでしょう。
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