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品質保証の仕事とは?|仕事内容や向いている人の特徴を紹介

製造業でお仕事をしている方の中には、これから品質保証の部門でお仕事をする予定の方や、既に品質保証の仕事を何年も経験されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 品質保証は製品の生命線とも言える品質を守る役割を担っています。品質保証の具体的な仕事内容や求められるスキル、仕事のやりがいなど気になる点も多いと思います。 この記事では、品質保証と品質管理の違い、品質保証の日々の業務、必要なスキルや資質、そしてそのやりがいについて深堀りします。これから品質保証の仕事を始める方や、この仕事に興味がある方は勿論、既に経験されている方にとっても知識を深める一助になればと思います。

品質保証と品質管理は何が違うのか

品質保証と品質管理、どちらも「品質」という言葉がついている仕事ですから、区別がつかない人もいるでしょう。

1.品質保証

両者の違いを理解するためにそれぞれの仕事を見ていくと、まず品質保証とは製品に使われる原材料の調達から、製造・出荷・販売・カスタマーサービスに至る全ての業務において、求める基準の品質が保たれているのかを確認し保証する仕事です。 最終的に完成した製品の品質を保証することが品質保証の仕事であり、買い手が製品の品質に満足できるのかということまで責任を負います。買い手から品質に関する不満があれば、誠実に対応し納得できるまで説明をしなければいけません。このことから、品質保証とは「買い手視点」の活動であると言えます。

2.品質管理

一方で品質管理は、製品を製造する工程において、求める基準の品質が備わっているのかを確認し保証することが仕事です。製造工程だけを保証の対象としており、品質保証と違い買い手が品質に不満を持ったとしても品質管理が直に責任を負う事はありません。そのため、品質管理とは「作り手視点」の活動と言えます。

3.業務範囲の違い

責任を負う部分の違いは、対象となる時間軸及び業務範囲の違いにもなります。品質管理は製品企画の段階から製品を製造するまでの時間軸および業務が対象ですが、品質保証は製品規格から販売後も対象です。なお、厳密に言うならば、品質保証という大きな枠組みの中に品質管理も含まれることになるでしょう。

品質保証の仕事内容を理解しよう

品質保証とは、製品の品質が顧客を満足させるレベルであることを確認し保証することが仕事です。品質保証が担当する業務は、製品の企画から始まり、製品設計、工程設計、製造、出荷、アフターサービスと多岐にわたります。

1.企画段階

企画段階では、製造工程におけるリスクを分析しリスク低減を可能とする対策を講じます。品質評価基準の策定では、法律や国際規格に合わせた品質評価基準を設け、どの工程に基準を設定をするのかを考えます。仕様書の内容で品質評価基準に合わない部分があれば、企画を担当する部署などに仕様書の作り直しをしてもらうことになるでしょう。

2.製造工程

製造工程においては、品質を損なう要因がないのかも確認します。もし、品質を損なう要因があれば、それを取り除き改善するように提案をします。 また、生産効率の低下および損失の原因である品質不良製品を極力出さない仕組みを考えることも、品質保証の仕事です。他には製品を構成する材料や部品の品質を調べるのも重要な仕事の一つです。 部品や材料を検査したデータをもとに、求める品質基準を満たしているのかを確認します。十分な品質があると確認できたら、それを証明する書類の作成を行います。

3.製品の最終確認と出荷

製品が完成したら、品質評価基準を満たしているか確認します。問題がなければ出荷されますが、問題がある場合は不良品として扱われます。出荷後に品質に関するクレームが寄せられた場合は、顧客対応を行います。重大な不具合が発覚した場合には、リコール措置を取ることもあります。

4.顧客の声を活用した品質改善

顧客のクレームやフィードバックは、品質保証にとって貴重な情報源です。営業担当者と協力し、顧客の声を収集し、品質に関わる内容を分析して改善策を立案します。これにより製造工程などを改善し、品質向上に貢献します。 品質保証の仕事は、製品の品質を確保し、顧客の満足を追求するために幅広い業務をカバーします。企画から製造、出荷、顧客対応までを通じて、品質の維持と向上に取り組む重要な役割を果たします。

品質保証に向いている人

次に品質保証に向いている人についてみていきましょう。

1.専門的な資格

品質保証には特定の資格が必須ではありませんが、品質保証に関連した資格を持っている人は仕事の遂行において有利です。例えば、マネジメントシステム監査員検定や信頼性技術者資格認定制度などの資格取得を目指している人は、品質保証の業務において充実した力を発揮できるでしょう。

2.コミュニケーション能力

品質保証の仕事では、様々な部署との連携や顧客とのコミュニケーションが重要です。良好な人間関係を築き、円滑に業務を進めるためにはコミュニケーション能力が求められます。相手の意見を聴きながら効果的な対話を行い、共通の目標を達成するためにコミュニケーションを図ることができる人は品質保証に向いています。

3.交渉力

品質保証の仕事では、時には意見の対立や問題の解決が必要となる場面があります。このような状況で交渉力を発揮できる人は、スムーズに解決策を見つけることができます。製造現場やクレームを入れる顧客との交渉においても、冷静かつ柔軟な姿勢で対応できるため、品質保証の仕事に適しています。

4.地道な作業に耐えられる

品質保証の仕事には、大量のデータや数値を集め分析する作業が含まれます。日々製品の品質を確認し保証するため、地道な作業を継続して行うことが求められます。このような状況に耐えられる人は、品質保証の仕事に適しています。

5.論理的思考

品質保証の仕事では、客観的に問題を分析し解決策を見つける能力が重要です。論理的思考が得意な人は、客観的な視点から的確な判断を下すことができます。品質に関わる情報を分析し、製造工程などの改善を行う際に役立ちます。

品質保証の仕事にやりがいはあるのか

品質保証の仕事は、製品の品質向上と顧客の信頼構築に貢献し、安心・安全な製品を提供することでやりがいを感じることができます。

1.製品の品質向上と事故防止

品質保証の仕事においては、製品の品質向上と事故の防止が重要な役割を果たします。製品に問題があれば、事故が発生する可能性や製品の利用価値が低下するリスクがあります。品質保証の存在により、製品の品質は一定の水準を保ち、トラブルが起きにくくなります。

2.安心・安全な製品の提供

品質保証が製品の品質を確保することで、顧客に安心・安全な製品を提供します。品質が保証された製品は、安全に使用できるだけでなく、期待通りの性能を発揮します。顧客は品質に問題のない製品を求める傾向にありますので、安心感から再購入の意欲も高まります。

3.品質保証の重要性と存在意義

品質保証の仕事は製品を世に送り出す過程で非常に重要な役割を果たしています。品質の保証により、顧客からの信頼を築き、製品の市場競争力を向上させることができます。品質保証の存在意義を実感することで、やりがいを感じることができるでしょう。 品質保証の仕事は、製品の品質を維持し向上させることにより、顧客満足度の向上や事故の予防に貢献します。安全・安心な製品を提供し、信頼を築くことで市場競争力を高めることができます。これらの要素が品質保証の仕事にやりがいをもたらします。

まとめ

品質保証は、製品の企画から製造、販売、そしてアフターサービスに至るまでの全ての段階で、製品の品質を確認し保証するという、極めて重要な役割を果たします。 技術者として新たなキャリアを検討するなら、コミュニケーション能力、交渉力、論理的思考力を活かせるこの分野を視野に入れてみてはいかがでしょうか。 品質保証の仕事は、製品の信頼性と顧客満足度を向上させることで、大きなやりがいを感じることができます。 キャリアパスとして、品質保証を選択することで、自身の技術力と経験を活かしながら、製品の品質向上に直接貢献する機会を得ることができます。

制作協力:オモシゴジャーナル編集部

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